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TSUNAMI [本]


TSUNAMI(津波)

TSUNAMI(津波)

  • 作者: 高嶋 哲夫
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2005/12
  • メディア: 単行本


前作の「M8」では直下型巨大地震が東京で発生
するという物語で、直下型なので津波の発生
というのは無かったのですが、今回の「津波」は
まさにタイトルどおりです。
物語は、東海、東南海、南海地震が連鎖して、ほぼ
同時に発生。
トラフが600キロメートルに渡ってずれ、広い範囲で
大きな津波も発生するという展開。
前作の「M8」のときもインパクトはありましたけど、
今回のほうがより印象が強いですね。
ほぼ西日本の太平洋側全土で津波が押し寄せてくる
という展開です。
以前、スマトラ沖にて地震が発生して、津波が押し寄せ
被害者数は32万人にもなるという震災があったのだが
この物語もそれに匹敵するくらいに大きな規模の地震
になっており、描かれている災害の規模も大きなもの
となっています。
この地震での被害総額が500兆という数字を出してきて
います。
国家予算よりも大きな額がほんの僅かな時間で消失
してしまうという事でも、規模の大きさが普通では無い
というのが判ると思います。
物語の流れとしては、今回は市役所の防災課の男、黒田が
絡んできます。黒田はかつて瀬戸口と共に地震の研究に
携わっていたのだが、その方面には進まず、地域の市役所
の防災課に就職をする。
彼は、ここで地震が発生した際の津波の及ぼす被害を想定
した津波ハザードマップをつくり、地域にフィードバック
をして防災、減災に役立てようと努めている。
かつて、大学で研究していた内容をバックグランドに論理的
な構想を立てている。
しかし、これを普及させようと各方面に顔を出して活動を
しているが、相手によっては迷惑がられてしまったりもして
いた。それでも彼は自らの使命のごとくひたむきに活動を
続ける。
そんな時に、東海地震の警戒宣言が発令されるのだが、時を
同じくしてサーフィンの世界大会が開催されようとしていた。
黒田は必死に、浜にいる人達を避難させようとするのだが、
災害に対する意識の低い人たちは一向に耳を貸さない。
又、海岸近くで運転を行っている原子力発電所があった。
定期点検を終えたばかりで、少しずつ出力を上げる運転を
再会していたところであった。
そして、実際に東海地震が発生。しかし百数十年のエネルギーを
溜め込んだと言われている地震にしては規模が小さく、震度5
程度のもので被害もすくなかった。
これで、浜にいる者、役所に勤める者、原発関係者、政治家達
は完全に拍子抜けして、一気に気を緩めていたのだが、この
地震はエネルギーの全てを解放してはいないという計算を弾き
だした瀬戸口は、必ずまた地震が来ると警鐘をならした。
先の地震の数十倍の地震がくると。それを受け、総理自ら国民に危険を
訴えるのだが、それは思うほど効果を示さないまま、瀬戸口の計算通り
に巨大地震が連鎖して発生した。
大地は奮え、海は吼えた。そして海岸線に巨大は波をたてて海水
の塊が突進してきた。
物語のタイトル通り、津波が襲うのだが、それも波の津波ではなくて
巨大な津波が襲ってくる。巨大地震が連鎖発生した事により、共振に
よって、波の高さは30メートルを超えていた。
その破壊力は凄まじいものであり、津波に飲まれた人たちの遺体の
損傷は激しく、洗濯機に石とナイフをいれて掻き回されたような状況
の損傷の仕方だった。
この描写を読んでいるだけで、かなりの恐怖感が迫ってきます。
こんな津波が来たら、ひとたまりもないと。
そして、それは海岸線に限った事ではなくて、川を逆流した海水が
都市の中心にも流れ込み、街を、地下を海水で洗い流していく。
第2波、3波と立て続けに津波は襲う。様々な要素が絡んで被害はこの
上ないくらいに大きく広がっていく。
これは少し大げさだと思いながらも、まったく可能性の無いものでも
無いと思うと、急にリアリティを伴う恐怖となって迫って来ました。
東海、東南海、南海の3つの巨大地震が連鎖発生したという設定であり
津波も巨大であるなら、揺れによる街の破壊の仕方も最大級。
幾つものビルが倒れ、ビルから降りしきるガラスの雨あられによる
人々の裂傷、圧死、高層ビルから投げ出される人々が道にいる人々の
上に降ってくる。これ以上ないと思えるような描写で、空爆を受けた
ような壊滅状態の街になってしまいます。
「M8」の時のような予知が今回は発表が出来ないでいた。予知にも条件
があり、突発的な要素が絡んだものに関しては、予知が非常に難しいと。
結局、瀬戸口も自ら予知は結局消極的な対応でしかないと警鐘を鳴らして
いる。
予知が出来たとしても、荷物を纏めて右往左往するくらいが関の山であり、
地震は予知が出来たとしても、必ず来ると。避けられない地球の営み、
息吹であるなら予知よりも更に、防災、減災に努めるべきだと訴えて
いる。巨大地震が発生した後の対応は、右往左往する小学生のような印象であり、
地震に対抗する手立てがまったくと言って無い状況で物語は描写されています。
阪神大震災の後、街づくりの観点も見直しが必要であるという声も上がった
が、自分の周囲を見渡してみてもその教訓が生かされていると胸を張って
言えるような状況ではない。それは大都市東京でも同じであろう。
もっともっと防災に予算を割くべきであると訴えている。
地震に限らず、毎年やってくる台風や豪雨も含めて予算を取るべきであると。
必ず来るとうい前提であるならば、これは必要経費であると。
政府はもちろんの事、私達個人のレベルにおいても、もっともっと準備を
厚くする必要があるであろうと警鐘をならしています。
物語の中で、地震発生後の対応で数少ない成功例として全国をカバーする
防災ネットワークが有効だと描写されています。
各地域の避難場所での責任者との連絡方法、必要な物資、人員等の要求の
情報が一元化できる、インターネットを使った広域な防災ネットワーク。
必要な物資を必要な場所に効率よく配布する為のシステム。
中央に頼るばかりではなく、こうした各地域、現場サイドでの横のつながり
がとても大切であると、こうした描写をいれて提案されています。
唯一、予知が出来るとされて予算を割いて続けられている東海地震予知。
果たして本当に予知が出来るのか。またそれを発表する事が出来るのかは
この物語を読んでみて、改めて疑問に感じてしまいました。
そうしたことを踏まえれば、やはりもっと防災の意識を高めていかなければ
いけないんだなと考えさせられました。

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