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M8 [本]


M8(エムエイト)

M8(エムエイト)

  • 作者: 高嶋 哲夫
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2004/08
  • メディア: 単行本


東海地震が起こると言われてすでに長い年月が経過している。
まだ小学生だった頃に、「明日地震が起きる」という根拠の
ない噂に自分の母親や近所の人たちが気にかけて、いろいろな
身支度をしていたのを思い出す。子供心に心が縮むような
言い知れぬ怖さを抱いて布団にもぐったことが印象に残っている。
その時から技術は日進月歩の進化を遂げて今に至っているのだが
まだ言い知れぬ恐怖が現実のものとして、僕らの前に姿を現して
はいない。
地震の予知連絡会が発足して来る巨大地震の発生に備えてはいるが
果たして本当に予知が出来るのか疑心暗鬼である。
長年囁かれ続けた巨大地震が来る前に、阪神大震災を始めとする
大きな地震が日本各地で発生し、そのエネルギーの大きさには
言葉を失う程である。
諸外国の紛争の地域がテレビで報道される映像を見ているが、
その時のような、それ以上のような瓦礫の山を築いた大震災の
被害を見ていると、実際自分の身に起こった時、自分がどういう
状態で居られるのかが不安で仕方がない。
予知が出来たとして、警戒情報を発令出来たとしても、巨大地震は
やってくる訳で、決して無傷ではいられないであろう。
そうした事を踏まえてわが身を見つめると、何とも心許ない。
震災後、援助物資が到着するまでに一週間は掛かると言われている
なかで、今用意できているのは、頑張っても3日分くらい。
ただ、どこでいつ震災にあうのか分からない現状では、自宅に
いくら用意したところで、それが使える状況かどうかは、その時に
なってみないと分からない。そう考えると公共での震災に対する
備えというものも必要になってくるのだが、現実はそれに対応
出来るだけのものが、備わっているとも思えない。
今回この作品を読んで、改めて備えが甘いかなと感じました。
作品の著者は実際に阪神大震災を経験された事を踏まえてこの作品
を書かれているだけに、内容はリアリティがあります。
物語の舞台は首都東京。ここで直下型の巨大地震が来るという
コンピュータシミュレーションからはじき出した予知を、ひとりの
研究者と、阪神大震災で予知を出せずに甚大な被害を出したことを
背負い続ける元教授が国や都に訴えるのだが、なかなか聞いてもらえない。
そんな中、直下型の地震が発生。多くの被害は出る中で、国、都の
トップがこれまでの姿勢を改めて防災に対する体制を、街づくりの
段階から見直していくという物語。
こうした地震や災害ものの映画がこれまでいくつか出されているので
話としては、新鮮さはあまり感じられない。
しかし、物語の緊迫感という意味ではとても強いものを感じます。
阪神大震災での教訓が、今の東京を始めとして、自分の住んでる地域
に関しても、目に見えるものとしては、なかなか実感できない部分が
多いだけに、確実に起きるとされている巨大地震を前に、不安です。
物語の中でも、震災が起きた後に首相が語るのですが、さほど必要
でもない道路やダムに莫大な予算を掛けてはみても、地震が起これば
それが、人の命を守ることや、被害を少なくする助けにはなっていない。
その予算のいくらかを防災に回すだけでも、被害は少なく出来ると。
選挙の票にはならない防災を市民に訴えたところで、選挙は勝てない
とする政治家の姿勢にも問題があるし、人事として片付けている市民
にしても問題だと。
又、地震の予知に関しても物語の中で触れており、地震学は単なる
学問で終わってはいけない。研究の結果をレポートとしてまとめる
だけではない、命に直結する学問であり、予知情報を発表出来ない
ようでは意味は無いと。
現実問題としてはとても難しい事で、物語の中でもその点に関して
研究者である主人公と元教授が政治家を説得を試みるが、なかなか
決断が出来ないでいる。結局元教授の半ば強引な方法によって市民に
呼びかけが行われるのだが、国としての発表で無かったことにより
大きな動きには結びつかないのだが、それでも幾らかは効果があり
命を落とさずにすんだ人がいた。
物語の後半は、多くが震災での街の描写や、そこでの人々の行動の
描写になっていて、物語の展開としては平坦な印象は否めない感じです。
こうした物語は小説としての形を借りた、強いメッセージを前面に
押し出したレポートという印象を受けます。
巨大地震が必ず来る。その前に政治かも役人も、一般市民もそれに
対する備えが必要だと。そしてそれが東京のような大都市で発生した
となれば損害は数十兆に及ぶ。数千人単位での死者が発生すると。
阪神大震災を経験した今後は、この時の教訓を来るべき巨大地震に
対して生かさなければいけない。この震災で失われた多くの命を
決して無駄にしないためにも、誰となくその備えは必要だと改めて
感じました。
それにしても、最近は各地での地震情報が以前にも増して速報として
テレビのテロップに流れるのだが、巨大地震が来ると言われている
東海、静岡近辺だけが沈黙を保っているのが、嵐の前の静けさのように
不気味に思えてならないのは、私だけだろうか。

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コメント 2

yuka

この本も"怖いもの見たさ"で興味をそそられますね。

9月13日に地震が来る!って話も
すでに忘れられつつ出来事になってるしね。
東海地震は
いつ起きても不思議じゃないと
研究家がテレビで言ってるのを見たけど
本当にやってきた時、冷静に対処できる自信も無いんだなー (TωT)

by yuka (2008-10-27 13:12) 

joker

yukaさん。

最初は手が伸びなかったんですよ、この作品。
東海地震があるから、あまりにもリアルなような
きがして。でも読んでおいたら何か身になるものも
あるかなっていう打算が働いて手にしたんですけどね。
実際地震が来た時は、冷静な対処ってのは難しい
と思いますね。経験したことの無い揺れになりますからね。
でも、来るんでしょうね、いつかは。
それだけは心しておかないとかなと、この本を読んで
改めて思いました。

by joker (2008-10-27 22:24) 

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