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闇の子供たち [本]


闇の子供たち (幻冬舎文庫)

闇の子供たち (幻冬舎文庫)

  • 作者: 梁 石日
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2004/04
  • メディア: 文庫



日頃日常の中に埋没し、忙殺される時間を過ごしていると
目先のことにとらわれ、周囲に対する視野が狭くなってくる。
目に入らないものは、そこには存在しないかのようになり
関心というものも疲弊する日常に追いやられて、いつしか自分の
中から零れ落ちている。
 日本は戦争に敗れ、GHQの支配下で民主化の道を歩んできた。
そしてそれと同時に経済の復興を果たし、欧米諸国と肩を並べる
ようになった。
私達の物質的な生活レベルは貧困にあえぐ底辺から大きく飛躍を
遂げたと言えるだろう。
しかし世界にはまだまだ貧困、飢餓にあえぐ国が多い。
そして、民主主義の無い国ではそんな生活から抜け出す術がなかなか
見つからない。
政治家、軍、警察がマフィアと裏でつながり、貧富の2極化は激しい
ものがある。
そして荒廃する生活の中で、その皺寄せを食うのは決まって弱者で
ある子供たちであろう。
食べることに困った親は自分の子供を置き去りにしたり、売りに出して
しまう。また臓器売買の商品として命を落としてしまう。
人権などという言葉など、最初から存在しないような扱いを受け、
富める者達の道具や玩具としての扱いをうける。
 「闇の子供たち」はそうした子供達の姿を小説という形で僕らに
漆黒の闇のような悲劇を突きつけてきます。
アジアの山岳地帯で貧しい暮らしをしていた少女は
8歳で売春宿に売られた。それ以来世界の富める者達の性玩具として
扱われ、やがてエイズを発病。もちろん発病したからといって病院
などにはかかれず、性玩具としての役目を果たせなくなった時、ゴミ袋
にいれられ、ゴミ収集車でゴミ廃棄所にすれられた。
それから少女は10日をかけて自分の村に辿りつくのだが、そこで再び
酷い扱いを受ける。エイズだと判ると人々は少女を檻に入れ遠巻きに
眺めて近寄ろうとしない。日に日に衰弱していく少女はやがて起き上がれ
なくなり、多くの蟻に食われそうになり、それを観た少女の父親によって
生きながらにして焼かれてしまう。
 そしてその妹も姉が売られて暫くしてから同じように売られてしまって
いた。
同じように客の相手をさせられ、餓えと恐怖のなかで怯えていた。
そんな子供達を何とか救おうとするNGO社会福祉センターで、日本人の恵子も
仲間と共に戦っていた。
しかし、厳しい現実の前にその活動はなかなか結果を出せないでいた。
警察も政治家もあてに出来ず、国際社会に訴えようと行動を起すのだが、
これが幼児売買や売春組織の怒りを買い、センターの仲間が殺害されてしまう。
それでもここで辞めてしまったら罪の無い子供の命が更に奪われてしまう。
恵子は大学での先輩にあたる、新聞記者の南部に声を掛け、力になってもらい
南部は臓器移植の裏で失われる、現地の子供の命のことを記事にしようとする。
負けられないという思いから尚も活動を続け、地域の住民を巻き込んだ大きな
デモを行うところまで活動を大きく出来たのだが、ここでも民主化を阻む
黒い力が暴動を起し、民主化を唱え、政府に反旗を翻す者達は警察に捕まり
投獄されてしまった。
仲間を失い、センターには恵子と子供だけが残されてしまう。
 もはや、限界を感じた南部は恵子を連れて日本に帰るように説得をするの
だが、恵子は子供を残して日本に帰れなかった。
そして、南部が語る言葉に大きな失望を抱いたのも、その理由のひとつだった。
「この国の子供達のことは、この国の人間が解決するしかない。君は所詮、
この国では外国人なんだ」
この排他的な感情が恵子を頑なにさせた。

 貧しい国に産まれたというだけで、人権は剥奪されて命は物のように簡単に
捨てられてしまう。この子供達が日本人に生まれていたのなら、こうした悲劇は
この子達の身に降りかかることはなかったであろうと思うと切ない。
子供達に罪は無い。
そして、こうした闇の経済を肥やしているのが富める者達であるという事実の
前に少なからず痛みを感じてしまう。
富める者が振り翳す欲望によって多くの悲劇が産み出されてしまう恐怖が、この
物語の中に描かれています。
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