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天使のナイフ [本]


天使のナイフ (講談社文庫 や 61-1)

天使のナイフ (講談社文庫 や 61-1)

  • 作者: 薬丸 岳
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/08/12
  • メディア: 文庫



子供の犯罪。14歳未満の子供が犯す犯罪を軸に
その事件の関係者達を含めての、更正とは何か
を問いかけてくる物語。
ミステリーと言えると思うんですけど、それだけ
に終わらない物語です。
流れとしては、主人公檜山の妻が4年前に惨殺され
その時の犯人である少年達が次々と死んでいく。
その少年達の死んだ場所の近くに必ず檜山がいた。
これは少年達に対する天罰なのか、復讐の上での
連続殺人なのか。
一見檜山が疑わしい設定になっているんですけど
それだとあまりにもストレート過ぎて、それは
無いなと簡単に読みながら犯人から除外してしまった。
檜山を犯人に仕立て上げるなら、もっと違った形での
アプローチがあったも良かったんでは?と思われる。
また中盤からこの事件、少年が殺される事件の背景
には惨殺された檜山の妻の存在が大きく絡んでいると
いうのが、後半に入る前から何となく判ってしまう。
そして事件が、物語がどんな方向へ流れていくのかが
あっさりと読めてしまうというのが少し物足りなかった
かな。まぁ、予想通りの流れでしょうか。
一方、ミステリーとしての流れとは別に、少年犯罪の
加害者の更正の在り方に関してでは、作者の強いメッセージ
を感じさせてくれます。
少年犯罪に限らないが、被害者達には、殺されてしまった
もの達には、人権の欠片も与えられない刑法のスタンスが
疑問視されている。
その一方で加害者達は少年であるというだけで社会から
隔離され、護られ明日という日を見つめて日常を過ごしている。
そこで行われる更正と、実際の被害者が思い描く更正との
大きな乖離が色濃く描かれています。
そして、更正とはどんな姿であるべきかを、ミステリーという
物語の流れに乗せて読者に問いかけている。
ですから、この答えをより効果的なものとして描く為の流れと
しては、上手く繋げられているかなと思います。
犯罪被害者という立場での少年法と向き合い、決して消えない
悲しみと憎悪の激しいスパイラルから、一転して加害者としての
立場での視点へとスイッチされた時、両者をつなぐ、更正の
あるべき形が説得力をもって提示されたなと思います。
この本を読んでいながら、本村洋さんの事件を思い出していました。
罪、自らが犯してしまった罪を償う行為の無いところで、心から
の謝罪の無いところで、更正などと言ってみたところで、それは
本当の更正ではないなと思いました。
物語の主人公檜山の苦しみの叫びが本村さんがテレビで語られて
いたものとラップしてリアリティがより強くなりました。
主人公への共感を読者が得やすい物語だと思います。



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joker

Shoさん。

読んで頂き、ありがとうございます。
又、niceも頂き、ありがとうございます。

by joker (2008-09-28 22:21) 

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