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白夜行 [東野圭吾]

白夜行

白夜行

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2002/05
  • メディア: 文庫

「白夜行」の続編の「幻夜」を先に読んでいたので
先の作品はどんな流れなのか楽しみにしていた。
「幻夜」も散在していたパズルが終盤にかけて
然るべき場所に収まっていくような物語としての
精巧さに驚いていたのだが、この「白夜行」は
さらにその上をいく精巧さだと言えるような気が
する。まるで精密機械のような緻密さに作者の
力量を改めて思い知らされた。
物語の前半から中盤にかけては、精密機械の部品を
散りばめたように、これらの話がどこへ行き着くのか
と思わせる。部品の点数も多くこれらを整理して
頭の中に収納するのに気を使いながら読み進めた感じです。
「幻夜」では美冬に弱い部分を握られ、愛するが故に
その人生を狂わせ、魂をつぶしてしまった雅也。
この構図はすでに物語の早い段階から読者に見せて
いたが「白夜行」ではこの構図がラストまで想像の領域
を出ない構成。主人公の雪穂と亮司は19年前の事件を
きっかけに、人生の夜、闇を抱えて生きていくことに
なる。だが物語の中では雪穂と亮司が直接言葉を交わす
事はなく、次々と起こる事件に二人の影が見えるという
形で流れていく。
これらの事件の計画は雪穂の計画の下に亮司が手を下して
いたようで、この辺りは「幻夜」と同じ展開だが、二人
の接触が無いので読者の想像を喚起させている。
また、三人称でありながらも、雪穂の心理描写はされて
いない。あくまでも会話とその立ち振る舞いから雪穂の
姿、人間像を創りだしている。
「幻夜」とは違った形だが、個人的にはこうした描写も
読者を引き込んでいく上でとても効果的なように感じました。
19年前に主人公の身に降りかかった事件。まだ少女だった
彼女はすでにこの時から太陽を無くし、人生の夜を歩く
運命を背負わされていた。
あらゆる手を使い、人生の成功をその手に収めていく様は
怖さを感じずには居られないのだが、その胸中はいつも
太陽の陽が降り注ぐことは無かった。彼女はいったいどこへ
行こうとしているのか。どこまで行けば彼女を満たすことが
出来るのか。共に夜の闇の中を歩いてきた亮司を失った時の
彼女の後姿に人生を生きていくうえでの覚悟と諦念と哀切が
白い影となって張り付いているようであった。


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コメント 8

Sho

なるほど「白夜行」とはそういう意味を含んでいたのか、と思いました。
確かに、何を掌中におさめても、主人公の心は満たされることがありませんでしたね。
同性からみると、ちょっと不自然に感じる箇所もあったのですが
とても面白かったです。
by Sho (2007-06-30 10:31) 

宗博

最近読書をサボっている自分ですが・・・この本は読みました。

分厚かったんですが、一気に読み、後から「もしかして、あれもそうだったのかー」と思い、また、はじめから読んだ記憶があります。
雪穂はなかなかレベルの高い悪女ですよね。
by 宗博 (2007-06-30 21:36) 

joker

Shoさん。
彼女はきっとこの先もずっと何かを求めて
突き進んで行くのかなという印象でした。
そのためには手段は選ばないというところも
これまでと同じように。
で、不自然に感じるところありとのことですが
どんなところがそんな風に感じられましたか?
同性の視点からの雪穂はどんな風に感じられる
存在なんでしょうか。ちょっと興味ありです。
by joker (2007-07-01 17:58) 

joker

y-hiro777さん。
お久しぶりです。
読書は自分のペースでするものですから
気が向いたときでよろしいのではないかと
思いますよ。
で、この作品、手にした時にはちょっとためらい
ましたね、私は。あのボリューム感に。(笑
でも作家さんの力量なんでしょうかね、本当に
一気に読ませますよね。
それにしても雪穂の何かを求めていく姿というか
その手段は凄いとしかいいような無いですね。
で、それを包み込む鎧も見事ですね。
悪女もあそこまで行くと畏怖さえ感じますね。
by joker (2007-07-01 18:02) 

Sho

jokerさん、こんばんは。
記憶があいまいになっているところもありますが、ご容赦ください。
雪穂が同性たちにある傷を負わせていきますよね?ただ一人だけ、傷の負わせ方が違っていた。その相手と向き合う部分ですかね。

記事を拝読し、いろいろ考えていたのですが、雪穂は何かを求めていたというのでは無い気がしてきました。
彼女にとっては、生きることがそのまま「復讐」だったような気がします。
by Sho (2007-07-01 21:44) 

joker

Shoさん。
コメントありがとうございます。
「復讐」ですか。
なるほど、そういわれてみれば、それがいちばん
しっくりとくる理由のような気がしますね。
貧しい環境の上、さらに人生の太陽までも奪われて
しまった雪穂。人がうらやむような成功も、その美しさも
もちろん、人に傷を負わせることも。
だから、きっとこの先も終わりなき復讐が続いていくの
でしょうね。
by joker (2007-07-01 22:51) 

「白夜行」読まれたんですね♬
今月から臨時出勤してたところを休めるようになります(o・ω・)♪
少し自分の時間が増えるので
読書に費やす事ができそうです!
by (2007-07-02 15:44) 

joker

yukaさん。
「幻夜」が面白かったので、「白夜行」も
読みたくなりまして、読んでみました。
それにしても、この2冊のボリュームには
恐れ入りましたよ。(笑

ゆっくりと読書できる時間は貴重です。
じっくりと物語を堪能してくださいまし。
by joker (2007-07-02 23:16) 

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