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龍時03-04 [野沢尚]


龍時 03-04

龍時 03-04



シリーズ最終巻。
ここではオリンピックを舞台に日本のチームの
中での龍二を描きながら、組織と個人、監督と
選手の間での心の動きが書かれています。
これまでの01-02、02-03で見られたような
龍時のピッチの外での描写は思い切って削って
グループリーグ、クォーターファイナル、セミファイナル、
ファイナルとそれぞれの戦いで構成されています。
ですので、内容は殆どがサッカーのものです。
ただし、各場面での心の動きを描くにあたって、その人物
がそう思う、決断するに到った動機に根拠を与える
意味合いから過去を描いている部分はあります。
しかし、その程度ですので純粋にサッカーを活字の上で
楽しみたいという読者にはお薦めの一冊ではないかなと
思います。
これを読んでいると、表面的にしかサッカーを観戦して
いない自分でも、ひとつのチームの中で監督の持つ力の
大きさを改めて感じます。一度ピッチに立ってしまえば
実際に戦うのは選手達ですが、そのプレーを導き出すのが
監督なんだなと。戦術やシステムは戦う上での具体的な
ツールだけど、それを選手達が高いモチベーションで実践
するには相互の信頼関係がとても大切なんだなと感じます。
監督は選手の技術はもちろんの事、ひとつひとつのプレーの
背景にある理由も時には考慮をしているんだなと。
その理由によっては起用の仕方も変わってくると。
監督は選手達を自らの戦術の色に染め、育てるが時には選手が
監督を育てることもあるというくだりには、なるほどなと
感じることもありました。
この物語を書き終えた後、野沢さんには実際のオリンピックを
観戦して龍時の次作の構成を練る計画があったようですが
それが叶わぬことになってしまったのが、とても残念です。
本格的なサッカー小説として多くの読者が期待をしていたと
思うので私と同じく残念に感じている方がいるのではと思いました。
龍時シリーズでは、まだ少年だった頃の龍時から青年へと成長する
過程の中で家庭を描き、親子の関係を描き、ピッチの外での一人
の少年としての淡い恋を描き、海外での生活、そこでの新たな
出会いと触れあいを描き、チームでの孤独、ピッチの上での焦燥、
葛藤熱情を描き、有望な選手として成功を収めるために必要な
描写を余すとこなく描いた厚みのある作品と言えると思います。
そして、海外、スペインにおけるクラブの発祥の歴史的背景を
交え、単なる娯楽の中のひとつとしてのサッカーではなくて
その地に根付き、そこで生きる人たちの中での位置づけがとても
深いものであることを知り、日本のサッカーとの違いを大きく
感じました。
欧州でのサッカーに対する気持ちの昂ぶりがどこから来ているのか
を少しだけ垣間見て、サッカーが人々に与える影響力、広がりを
感じました。

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コメント 4

joker

野沢様

niceありがとうございます。

by joker (2008-06-17 22:39) 

yuka

蒸し暑い日が続きますね (^ω^;)
私はようやく 東野圭吾さんの【夜明けの街で】を図書館で借りれ、
無我夢中で読んでおります!

by yuka (2008-06-23 16:31) 

joker

yukaさん。

本当に、湿りがちで蒸し暑い日が多いですね。
東野さんの「流星の絆」が読みたいなと思ってる
んですけど、まだまだ借りられそうにないんで
暫く我慢です。割と面白いという声を聞き流せなくて
気になっています。
「夜明けの街」もなかなかいいですよ。
最後の結末は、人それぞれの声がありますけど。
また感想を聞かせてくれたら嬉しいです。

by joker (2008-06-24 12:30) 

joker

yukoさん。

ご訪問いただき有難うございます。
niceもありがとうございます。

by joker (2008-06-29 21:40) 

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